インタビュー

VOL01 高尾ビジターセンター・村上友和さん

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3つのメッセージに想いをこめて、高尾山の魅力を伝えていきたい

ちょっと意外な高尾山でのエピソード

――高尾山の魅力は人それぞれで、語りつくせないものがありますね、これまで4年間ビジターセンターの解説員をされてきた中で、特に印象に残るエピソードなどはありますか?

村上:一番記憶に残っているのは、意外と知られていないことかもしれませんが、高尾山も落雷に見舞われることがあって、私がビジターセンターにいたときに雷が落ちたことがあったんですよ。ドーンというものすごい音響とともに、建物内に火花が飛び散るのを目にしました。まだ雷鳴の轟きが治まらない中、雨の中傘もささずに、大急ぎで下山しましたよ。今でこそ笑って話せますが、あのときはさすがに恐ろしかったですね(笑)。以来ビジターセンターのパソコンのコンセントは、必ず抜くようにしています(笑)。

――それは、ものすごい体験でしたね!

インタビューは山頂周辺で。取材中にキビタキの姿も見られました。
インタビューは山頂周辺で。取材中にキビタキの姿も見られました。

村上:それからセンターでの仕事を終えて、薄暗い夕暮れ時に下山していたら、後ろから猛スピードで追いかけて来る方がいて、何事かと驚いて聞いてみると、登山鉄道の終電もとっくに過ぎ、明かりもなく、どうしようかと悩んでいたらちょうど人がいたので、一緒に下山してほしいと・・・そんな方もいらっしゃいましたね。あまり山のことを知らずに、観光気分で来てしまって、気が付いたら山中に取り残されて途方に暮れてしまったようです。

――確かに高尾山は、夕暮れを過ぎると明かりもなく、暗闇と静寂につつまれますよね・・・。
その方は村上さんとたまたま出会えてラッキーでしたね。

村上:他にも登山客が多いので、いろいろな問い合わせを受けることがあるのですが、中には、「山頂まで車で行くことができますか?」とか、「ミシュラン三ツ星のお蕎麦屋さんはどこですか?」など、ちょっと変わった質問を受けることもあるんですよ。

――確かにミシュランというと飲食店のイメージが強いですからね(笑)、先の山中に取り残されたエピソードは、北アルプスの室堂なんかでも言われることですが、100%観光気分で来てしまうと、思わぬ怪我や事態に巻き込まれる危険性があるので、“観光地”である一方で“登山”であるという認識が大切ですよね。

これからも高尾山の魅力を伝えていきます

――それではインタビューの時間も残り少なくなってきましたので、最後の質問になります。
今後もビジターセンターの解説員として、どのようなことを目指していきたいと考えていますか?

村上:高尾山には、小さいお子さんからお年寄りの方まで、あるいは観光目的から登山目的、参拝目的と、全ての世代の方が、いろいろな目的で来られます。
ですから、私たちの解説の仕方、伝え方というのも、画一的なものではなく、来られる方々の世代や目的に応じて、さらには時代や周辺環境の状況に応じて変化させる必要がありますし、逆にそれができるのが高尾山の魅力だと思います。
そして、そのように伝える手段を柔軟に変化させながら、ビジターセンターの特徴をいかしつつ先の3つのメッセージを伝えていくというのが、私たちの課題であり役割・使命であると考えています。

ビジターセンター館内では、様々な展示で高尾山周辺の生物、環境の情報にふれることができます。
ビジターセンター館内では、様々な展示で高尾山周辺の生物、環境の情報にふれることができます。

――最後に、これから高尾山に来られる方に一言お願いします。

村上:そうですね、特に初めて高尾山に来られる方には、1つでもいいので、印象に残る何かをみつけてもらいたいと願っています。そのために、できればゆっくりと景色を眺めながら高尾山を登る・・・そんな気持ちの余裕を持ってぜひ登って頂ければと思います。

――今日はとても面白いガイドウォークから始まり、興味深いお話までいろいろと聞かせていただき、どうもありがとうございました。

村上:こちらこそ、ありがとうございました。

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