インタビュー

VOL03 中央大学附属中学校高等学校教諭・岡崎弘幸さん

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ムササビを追いかけて35年。生物部の生徒とともに続ける観察会

ムササビ観察会をとおして変わっていく生徒たち

――先生は現在の学校の前に、都立高校に勤務されていたと聞きましたが。

岡崎:都立高校で25年勤めて、その後今の学校に移って5年目です。
都立高校だと転勤が6年ごとくらいにありまして、生物部をつくっても活動が軌道に乗ってくる頃に転勤になっちゃうので、調査や研究が定着しないし、生徒もかわいそうなんですよね。

――なるほど、そういうことがあるのですね。都立高校から通算すると、生物部でのムササビ観察会は、もう何十年も続けられているのですね。

岡崎:昔生物部で参加していた教え子はもう大きくなってオッサンになっていたりしますが(笑)、今では何かやるときは手伝ってもらったりしています。うちの息子も子どもの頃から観察をしてますが、今では教員になっていて、ときどき一緒にやったりしますね。

――観察会を通じて、考え方が変わってきたりするということはあるでしょうか?

岡崎:生徒を見ているとありますね。なんかのきっかけで子どもたちはすごい変わるので。

一番変わったのは、あまり学校に来ない生徒がいたのですが、自分でもこういうのが好きだっていうのを気づいていなかったのですが、一回観察に連れだしてきたら好きではまって、しょっちゅう一緒に来るようになったんです。
その後、一回も学校を休まないようになって卒業してその道に入ったんですよ。

あとはあまり英語ができない生徒がいたのですが、動物の生態が好きな生徒で、山の中で観察をしていたら教授に見初められて、それがきっかけで大学院に受かり研究の道に入りました。
今は博士になってます。博士になった生徒も2人います、教え子で(笑)。みんな生物部出身です。

中大附属の生物部の生徒も、しょっちゅうムササビを見に来るくらい好きになった生徒もいて、将来生物の先生になりたい、って言ってますね。先生見てると楽しそうって(笑)。趣味と実益が一緒だって。

取材の後も大学の授業でムササビを観察するということで、高尾山に登られていきました。
取材の後も大学の授業でムササビを観察するということで、高尾山に登られていきました。

――先生が顧問をされている生物部が大変うらやましいのですが(笑)、一般の人でも観察会に参加して、先生のお話を聞ける機会はありますか?

岡崎:普段行っているのは生物部の観察会なので、一般の方は残念ながら参加はできません。
一般の方向けの観察会で講師もしていますが(※京王電鉄主催「高尾山を学ぶ会『ムササビに会おう』」、多摩動物公園主催など)、最近は人気になっているようで、応募しても倍率が十数倍ということもあるようです。
一般向けの観察会もやりたいね、という話をよくしています。企画がまとまったら、一般向けにもやるつもりです。

――本日は貴重なお話をいろいろ聞かせていただいて、ありがとうございました。

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