【自然講座】紅葉の葉っぱの秘密。赤・黃・茶色の違いを知って高尾山の紅葉を楽しもう!
高尾山では例年11月中旬以降に見頃を迎える紅葉。11月に入るとテレビなどでも各地の紅葉情報がたくさん流れ始めます。
ところでひとくちに紅葉と言っても、赤や黄色、茶色の葉っぱがあって、どういう違いがあるのか、いまひとつわかりません。
そんな疑問を自然ガイドの宮田浩さんに解説してもらいました。
覚えていって、高尾山で紅葉を見るときに友達に説明してあげてもいいですね!
葉っぱが色づく仕組み
一般に紅葉と呼ばれている現象は、主に落葉広葉樹が落葉に先立って色づくことですが、実は大きく分けて3種類あります。
葉が、
- 赤に色づく「紅葉」
- 黄に色づく「黄葉」
- 褐色になる「褐葉」
の3種類です。
樹木の葉は、春から夏にかけて太陽光で光合成を行い、栄養分を蓄えています。
秋になり気温や日照時間が変化してくると光合成の効率が悪くなるため、無駄なエネルギーの消費を抑えるため葉を落とします。その過程で葉にある色素が消失または発現することにより、葉が赤や黄、褐色に変化するのが紅葉の仕組みです。
葉には緑色の色素 クロロフィル(葉緑素)と黄色の色素 カロチノイドが含まれていますが、普段はクロロフィルの量が多いために緑色に見えます。
秋になって気温が下がり日照時間が短くなると、クロロフィルが先に分解されてカロチノイドが残るために葉は黄色に変色します。これが「黄葉」です。
また、葉を落とす準備のために葉柄と枝の境目に離層が作られ、光合成で生産された糖分などが移動できず葉に蓄積して赤色の色素 アントシアニンに変化します。これが「紅葉」です。
「褐葉」はアントシアニンの代わりにタンニン系の物質が生成されて、褐色が発現されます。
葉の色づきには、気温、太陽光、湿度が関係しています。
一般に最低気温が8度以下になると葉が色づき始め、5~6度になると見頃になります。特に日中が晴れて気温が上昇し、夜間に急に冷え込むとよく色づくと言われています。
「黄葉」は「紅葉」や「褐葉」よりも色づきが早く、10月下旬から楽しむことができます。
葉の色でその地域の自然度が分かる
赤・黄・褐色という葉の色の違いにより、その地域の自然度が分かります。
神社やお寺の周りや観光地では、きれいな赤色になるイロハモミジやオオモミジ、中国原産のトウカエデなどが人の手で植えられていることが多く、「紅葉」が目立ちます。
逆に人の手が入りづらい奥の方の山ほど、黄葉(ミズナラ、チドリノキなど)や褐葉(ブナ類など)の割合が高くなります。
高尾山ではふもとや薬王院、山頂で「紅葉」が多く見られます。
紅葉ピーク後の楽しみ
紅葉はピークの時期がいつなのかが一番気になるところですが、ピークが過ぎても紅葉の楽しみ方はあります。
落ち葉の絨毯
紅葉のピークを過ぎると地面が色とりどりの落ち葉に埋め尽くされて、色彩豊かな落ち葉の絨毯が広がります。この光景がとてもきれいです。
そして落ちたてホヤホヤの葉の上をザクザク歩くのも楽しいものです。
多くの人が歩く人気コースでは落ち葉が踏みつけられて早めに粉々になってしまうので、人があまり歩いていないコースを選ぶと、より落ち葉の絨毯を楽しめます。
高尾山では裏高尾や奥高尾のルートなどがオススメです。
紅葉のランプシェード作り
落ち葉を使ってこんな楽しみ方はいかがでしょうか?
簡単な材料で気軽に作れるランプシェードをご紹介します。
準備する物
- 透明な筒状の容器(ペットボトルやガラス瓶など)
- クラフト紙や和紙(光が透ける紙であればOK)
- 小さなライトやミニランタン(100円均一ショップでも購入可)
- のり・ハサミ
- 落ち葉
作り方
(1)容器の高さと円周の長さに合わせて紙を切る
(2)落ち葉の位置を決めて、のりで貼り付ける
(3)容器にぐるりと巻き付けてのりで接着する
(4)ライトを容器の中に入れて完成
落ち葉をそのままの形で貼り付けても、ハサミで好きな形に切って貼るのも面白いです。
これからのクリスマスシーズン用に作ってもいいし、あるいはキャンプに出かけた時には現地で素材を集めてランプシェードを作るのもオススメ。夜のキャンプが一層盛り上がりますよ。
宮田 浩
1974年生まれ 東京都出身 愛媛大学大学院修了
学生時代は生態学を学び、愛媛県と北海道で外来魚を研究。大学院修了後は環境教育、グリーンツーリズム・エコツーリズムに携わり、その後は高尾ビジターセンターや御岳ビジターセンターでインタープリターとして自然を紹介。現在は東京の川と森を舞台として「東京の自然をゆっくり味わうツアー」を実施中。https://note.com/kawamori_tokyo/