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【自然講座】“植物の宝庫” 高尾山で花の観察をして春の訪れを感じよう

自然ガイド

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高尾山は約1,600種もの植物が自生しており、植物の宝庫としても有名です。
春になるとスミレを始めとしたたくさんの花が咲き、大勢の植物愛好家の方々がカメラを手に高尾山を訪れます。
そんな高尾山で春に咲く花の種類、観察のオススメルートを、自然ガイドの宮田浩さんに解説してもらいました。
春に高尾山を訪れる際には、ぜひ参考にしてください。

高尾山で見られる春の花たち

梅の花が満開となりウグイスのさえずりが聞こえてくると、高尾山では花のシーズンを迎えて、自然ガイドとしては新年が始まるような気持ちでワクワクします。

男坂付近で真っ先に咲き始めるのは淡い瑠璃色のヤマルリソウ。春を告げるヤマルリソウをスタートの合図に、その後は次々と春の花のラッシュに。

ヤマルリソウ

花びらのような白い萼と赤い葯のコントラストが絶妙なハナネコノメは人気No.1。

ハナネコノメ

風車のようなコチャルメルソウは、成熟した実の形が木管楽器のチャルメラ(屋台ラーメンのメロディでお馴染みの)に似ていることに由来します。

コチャルメルソウ

さらに、ユリワサビ、葉が粉を吹いたようなヨゴレネコノメ、そしてヤマエンゴサクと続きます。

ユリワサビ
ヨゴレネコノメ
ヤマエンゴサク

春の花を観察するオススメコース

沢沿いでは森の中よりも早く植物が咲き始めることから、春の山歩きは沢沿いのコースを選ぶことがポイントです。
高尾山では6号路、日影沢、小下沢といくつか沢沿いを歩くコースがありますが、今回は3月上旬から中旬のオススメコースを一つ紹介します。
6号路〜1号路の男坂〜蛇滝コース〜小仏川の遊歩道、という春の花をたっぷり楽しめる欲張りなコースです。
(少し距離があるので分けて歩くのでもいいかもしれません)

スタートは6号路から。
登山道に入るとすぐにユリワサビ、ヤマルリソウがお目見えして、さらに歩くとハナネコノメやヨゴレネコノメが現れてきます。

6号路は春の花の観察にうってつけのルート。

6号路の終盤では日当たりの良い場所で再びヤマルリソウと遭遇、木製の階段を登り切ると6号路はここでゴール。

6号路が終わったら、今度は1号路を下山していきます。
男坂に立ち寄るとヤマルリソウ、ナガバノスミレサイシン、ヒナスミレが斜面に咲いています。

ケーブルカー高尾山駅の近くにきたら、蛇滝コースに入ります。
コースの途中でヤマネコノメソウやユリワサビが現れて、沢に近づいていることを感じます。

「蛇滝」の風景。「蛇滝コース」はケーブルカー高尾山駅近くから蛇滝を経由して裏高尾の旧甲州街道に出る

蛇滝付近ではハナネコノメ、ヨゴレネコノメ、少し歩くとタイミングが良ければニリンソウも咲き始めています。

ニリンソウ

蛇滝コースの舗装路を下っていくと旧甲州街道の手前で小仏川の遊歩道があるので、遊歩道を高尾駅方面に向かって歩いていきます。
梅の花もまだ楽しめ、スミレの一番バッターであるアオイスミレ、アズマイチゲやキクザキイチゲ、ヤマエンゴサク、そして頭上にはキブシやアブラチャンも咲いています。

ゆっくり歩いて約4時間、春の花が満載のコースです。

アオイスミレ
アズマイチゲ
キクザキイチゲ
アブラチャン

花を観察するときの注意点

魅力的な高尾山の春の花ですが、観察するときはぜひ気をつけていただきたいことがあります。
高尾山では花を観察する方による無意識な植物の踏みつけ・踏み込みによる地面の硬化で植物が影響を受けるケースが多くなっています。残念なことに日影沢ではハナネコノメの大きな群落が消失してしまいました。
いつまでも多くの人が楽しめるように、花の観察時にはぜひ足元に細心の注意をお願いします。

自然ガイド

宮田 浩

1974年生まれ 東京都出身 愛媛大学大学院修了
学生時代は生態学を学び、愛媛県と北海道で外来魚を研究。大学院修了後は環境教育、グリーンツーリズム・エコツーリズムに携わり、その後は高尾ビジターセンターや御岳ビジターセンターでインタープリターとして自然を紹介。現在は東京の川と森を舞台として「東京の自然をゆっくり味わうツアー」を実施中。https://note.com/kawamori_tokyo/

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