「ぼくは高尾山の森林保護員」宮入芳雄
高尾山では、自然環境を守るために森林をパトロールしている方々がいます。
この本はそんな日々高尾山域を歩いている「森林保護員」の方の目線で書かれた一冊です。
「森林保護員」は林野庁の非常勤職員で、週に2日、高尾山域をパトロールしている方です。
(二班で動いていているので週4日は稼働している)
本にはその採用過程や日々の仕事の内容も詳しく書かれていますので、興味のある方はぜひ参考にされるとよいでしょう。
高尾山のパトロールをしているのは、林野庁の「森林保護員」のほかに、東京都の「都レンジャー」もいて、互いに協力しあって活動されています。
やはり森林インストラクターなど、専門的な知識が豊富な方がなるようです。
※高尾山マガジンでは、東京都レンジャーにインタビューした記事がありますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。
著者の宮入さんは、元々カメラマンを生業になれていた方とのことで、本の中でも美しい写真がたくさん掲載されています。
1見開きで1つの話になっていて、左に写真、右に文章という配置になっていて、大変読みやすい構成になっています。
内容も自然の話を中心にしながら多岐にわたります。
植物では、スミレ、ジャケツイバラ、ブナ、タカオヒゴタイ、キジョラン、キヨスミウツボ、ヤマシャクヤクの話など。
生き物では、カエル、ヤマガラ、イノシシ、オオムラサキ、アサギマダラ、ヘビの話など。
他にも森の中で見た不思議な建物、間伐、山内の動物事情、混雑の様子、山頂からの風景などなど。
長い時間をかけてたくさん山を歩いた人にしか語れない話が、豊富に掲載されています。
個人的には「手乗りオオムラサキ」や、林道に横たわっていたイノシシが一週間もしないうちに食べられてなくなっていた、という話がとても興味深かったです。
高尾山の自然が好きな方、まだケーブルカーと1号路しか行ったことないけど他のところも興味がある、なんて人にオススメの本です。