景信山の天ぷら。三角点かげ信小屋&景信茶屋青木
天ぷらを食べに山へ行ってきました。
向かったのは景信山。
高尾山の隣の隣。奥高尾と呼ばれる方面にある山です。
高尾山から縦走すると2時間くらい。高尾山と陣馬山のちょうど中間くらいになります。
今日は、景信山だけに登ります。全部で3時間くらいの、手軽なコースです。
高尾駅の北口から小仏行きのバスに乗り、終点の小仏で降ります。
紅葉シーズンなどは臨時バスがたくさん出て、車内は人とザックでぎゅうぎゅうになる路線ですが、今日は空いていました。
バス停にあるきれいなトイレをお借りしました。
7時40分。空気が澄んでいて、空は青く、気持ちのよいスタートです。
しばらく道路を歩きます。
ところどころ凍結しているので、気をつけて歩きます。
カーブが2回ある道を登ります。
バス停から10分ほどで、登山口へ到着しました。
最初は階段を登ります。
すぐに山らしい道になります。
しばらく、急な登りが続きます。
登りはじめなので、体が疲れないようにゆっくり進みます。
30分も歩くと、青空が見える尾根道にでました。
歩いていて気持ちのよい道です。
ゆるやかですが、着実に少しづつ登っているのを感じます。
小下沢からの分岐に合流しました。
ここからは、雪が残っています。
念のため軽アイゼンを持ってきましたが、付けるほどではなさそうだったので、このまま進むことにしました。
途中、溶けた雪が凍っている道もありましたが、なるべく避けて、靴底全体で着地して歩くようにして、滑らないように気をつけました。
木の階段が見えてきたら、山頂まではあとひとふんばりです。
山頂まであと5分というところにトイレがあるので、お借りしました。
この辺りからは、道がだいぶぬかるんでいます。今度は泥で滑らないように気をつけて歩きます。
今日は、2本のストックがとても頼りになりました。
山頂に到着しました。
だいぶゆっくり登って、登山口から1時間半くらいでした。
山頂にも少し雪が残っていますが、それよりも、泥、泥、泥。
こんな日本語は辞書には載っていませんが、一面の泥景色でした。
景信山は標高727mです。599mの高尾山より128m高いです。
そう聞くと、高尾山を登るよりも大変そうだなぁと思うかもしれません。
でも、登山口の標高を地図で見ると、高尾山口駅は191m、今日のスタートの小仏バス停は290m。登り始めも100mくらい違うので、実は登る高さはそんなには変わりません。
コースによっては、高い山でもらくに登れることがあります。
逆に、低い山でも意外と大変なこともあります。
ずっと登り続けるのではなく、山頂に着くまでにアップダウンを繰り返す場合もあるので、一概には言えませんが、ひとつの目安にはなるかと思います。
山頂は東側に開けていて、高尾山や、都心の方の景色が一望できます。
さえぎるものが何もないので、とても解放感があります。
山頂には、お茶屋さんが二軒あります。
こちらは三角点かげ信小屋。
9時で、ちょうどオープンするところでした。
今日は、これを楽しみに登ってきました。
手作りの看板がなんともかわいらしいです。
笑顔のすてきな、かわいらしいおかあさんが揚げてくれます。
数年前に来た時は、小さなやっぱりかわいらしいおばあちゃんが揚げてくれていたので、気になって聞いて見ると、小屋に来るのは引退されたとのこと。
でも、天ぷらにする食材の下ごしらえなどはおうちでされているそうです。
にこにこしていてとってもすてきなおかあさんだったので、しばらくお喋りさせてもらって、気持ちがほっこりしました。
こちらでは、天ぷらにつける塩の種類もたくさん用意されていて、選び放題です。
小屋の方がみんな親切で、おすすめはこの塩だよ!いや、こっちもいいよ!もうテーブルに全部持ってっていいよ!と、大騒ぎで、おもてなししてもらえました。
さて、揚げたての天ぷらをいただきます。
どれも普段はなかなか食べられない天ぷらです。
衣が薄くて、パリッと揚がっているので、いくらでも食べられそうです。
春菊はほろ苦くて、ビールによく合います。
くわいの天ぷらはほくほくで、幸せな気持ちになりました。
もみじの天ぷらは口の中に入れたら溶けるようになくなって、初めての感覚でした。
持っていったビールと一緒にいただいていたら、さっきのおかあさんが、これも食べて!と、揚げたてのしその天ぷらを持ってきてくれました。
しその天ぷらというと、みどりの葉っぱをそのまま揚げたものを想像していたのですが、運ばれて来たのはむらさき色で、ねじれたような形をしています。
食べて見ると、じゅわ、と独特の甘みと塩気が口の中に広がりました。これはくせになりそうです。
おうちでおばあちゃんが漬けこんでくれている赤紫蘇を、使っているそうです。
ビールがなくなったところで、定番のなめこ汁もいただきました。
大きななめこがごろごろと入っています。
白みそで、やさしい、ほっとする味でした。隠し味に少しだけ、柚子が入っていました。
他にも、色々なメニューがあります。
そしてお酒の種類も豊富です。
ホットワインなんていうものもあり、しゃれています。
おみやげに、なめこをひとついただきました。
こちらでは、餅つき大会があることも有名です。
きっと、通いに通った常連の山男たちのみに参加が許された大会なのだろうと思いながらも、おそるおそる聞いて見ると、餅つきは予約すれば誰でもできるとのことです。
二升(6500円)からなので、10人以上集まったら、楽しめそうです。
山頂に着いた時にはまだ人はまばらでしたが、だんだんと賑ってきました。
せっかくなので、もう一軒のお茶屋さんにも寄っていくことにします。
こちらは、小仏峠方面に少し下がったところにある、景信茶屋青木。
かわいい店番さんたちがいます。
こちらにもテーブルとベンチがたくさんあります。
ビールを注文すると、お通しがついてきました。
これは嬉しいです。
こちらでも山菜の天ぷらをいただきます。
今日は、わさび菜、うど、しいたけ、いも、など。
しいたけがとっても肉厚で、食べごたえがありました。
衣はしっかりめです。子どもの頃に食べた、おばあちゃんが揚げてくれた天ぷらを思い出しました。
なめこそばでしめます。
つゆをすすると、ゆずのパンチが効いています。
なめこにもしっかり味がついていて、それだけでもつまみになりそうです。
白菜漬けものっていて、にぎやかです。
山並みを見ながらひとりで小宴会になりました。
ここからは、今日は隠れてしまっていましたが、富士山を眺めることもできます。
メニューをあらためて見ると、半分は酒です。
つまみも充実しています。
おいしい、そしてのんべえの山、景信山を楽しめました。
ちなみに、お茶屋さんはどちらも土日のみの営業です。天候によってはやっていないこともあるので、目当てにして行く場合でも、念のための非常食を持って行った方がよいと思います。
少々おなかがいっぱいになりすぎたところで、下山開始です。
下りは、小仏峠を経由して、小仏バス停へ戻ります。
ゆるやかですが、ぬかるんだ道が続きます。
今日は、ゲイターを着けてきてよかったです。
だいぶのんびり歩いて1時間くらいで、小仏峠に到着しました。
いつもゆっくり歩いているので、普段はあまり疲れないのですが、このあたりでちょっと疲れて、眠くなってきてしまいました。
調子に乗ってビールを2本飲んだからかもしれません。
たぬき一家にあいさつをしてから、ちょっと休憩をすることにしました。
ここは広々としていて、テーブルとベンチもあるので休憩にちょうどよいです。
コーヒーを淹れていると、向かいににぎやかな三人組のおじさま方がやってきました。
やはりコーヒーを淹れていますが、お湯がなかなか沸きません。
どうやらバーナーのガスがなくなってしまった様子。どうぞどうぞとバーナーをお貸しし、ついでにチョコレートもどうぞ、とおすそ分けしたら、お礼に生ビールを一杯いただくことになっていました。
ここに生ビール屋はありません。
高尾駅までご一緒することになりました。
わたしはひざが悪くて、特に下りは人の2倍かかるので、ご迷惑をおかけしてしまうと思います。と一度は辞退しましたが、いいよ!いいよ!大丈夫!とおっしゃるので、せっかくのご縁は大事にすることにしました。
お喋りしながら、小仏峠を出発して30分も下ると、道路に出ました。
さらに5分下ると、朝の登山口に戻ってきました。
地図のコースタイムとそんなに変わりません。もちろん無理せずに慎重に下りましたが、おじさま方にひっぱってもらい、いつもより速く歩けたみたいです。
転ぶのを恐がって一歩ずつ慎重に歩きすぎるよりも、転びそうになったらすぐに次の足が出せるように、リズミカルに歩くといいよ、と、いつかどこかの山でベテラン登山者の方に教えてもらったことを思い出しました。
バスに乗って、高尾駅へ戻ってきました。
高尾駅北口の改札を出てすぐのところにあるお店で、約束どおり生ビールをごちそうになりました。
ここは入ったことがなくて、パン屋さんなのかと思っていたのですが、中へ入ると居心地のよい空間で、こだわりのカレーや、デザートも楽しめるお店でした。
JRのホーム側から、パンを買うこともできます。
ビールに3品つまみがついた、おつまみセットに、さらにビールをもう一杯いただいてしまいました。
ぼんやりと、わらしべ長者、というお話を思い出しました。
今日は、ひとりで山へ行ったのに、色々食べたり飲んだりお喋りしたり、よく口を動かした1日になりました。
揚げたての天ぷらや温かくて美味しいなめこ汁を楽しめる、景信山。
そんなおいしい山へ、天気のよい週末にぜひ登ってみてください。
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小仏峠〜景信山のルート解説は、以下のページをご覧ください。
また、最後に立ち寄ったお店は「一言堂 Ichigendo」さんです。