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高尾山の歴史に触れられる「はちはく(桑都日本遺産センター 八王子博物館)」に行ってみた

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八王子市は2020年に「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」というストーリーで「日本遺産」の認定を受けました。
「日本遺産」とは地域の歴史的魅力や特色をストーリーとして文化庁が認定するもの。
高尾山のみならず八王子市内の29件の文化財からストーリーを構成し、養蚕や織物で発展してきた八王子の歴史を高尾山とのつながりによって紹介しています。

そんな八王子市の日本遺産ストーリーをわかりやすく体感できる施設が、2021年6月、八王子駅近くにオープンしました。
その名は「桑都日本遺産センター 八王子博物館(愛称:はちはく)」。
JR八王子駅南口から直結してる「サザンスカイタワー八王子」というビルの中にあり、とても行きやすい場所にあります。

サザンスカイタワー八王子。「はちはく」は3Fにあります。
右が「はちはく」。100円ショップ「Seria」の前にあります。

「はちはく」のあるスペースは、以前手芸用品店が営業していました。
ビルの一般的なテナントスペースですのでそこまで広大ではなく、どのくらいじっくり見るかにもよりますが、10〜30分ほどでひととおり展示を見ることができます。

導入ゾーン

入口の壁面には、高尾山薬王院の行事や、養蚕や織物で発展してきた八王子の歴史を表現したイラストと映像があります。

壁面のイラスト。薬王院の「火渡り祭」も受け継がれた伝統文化として描かれている。

エントランスのパネルでは、高尾山や関連文化財の映像が順番に表示されています。
ちなみに「はちはく」の入場料は無料となっています。

「はちはく」のエントランス。

テーマ展示ゾーン

館内では大きく4つのテーマにわけて日本遺産のストーリーを紹介しています。

  • 霊気満山 高尾山
  • 滝山城と八王子城
  • 八王子のまちと人びと
  • 桑都と織物

「霊気満山 高尾山」は順路の一番最初で紹介されています。

高尾山を紹介するエリア。

高尾山のエリアで展示されているのは、古くから高尾山薬王院に伝わる資料、高尾山の豊かな自然の紹介、昔のケーブルカーの資料など。
遠い昔から高尾山薬王院が信仰されていたことが、展示を見るとよくわかります。

江戸時代に使われていた養蚕守護のお守りなど。右の石膏像はJR高尾駅ホームにある天狗像のひな型。

薬王院は江戸時代に、火伏、魔除けなど様々なご利益があるということで、江戸やその周辺地域で信仰をあつめていました。
地元八王子など養蚕が盛んな地域向けには、養蚕守護(ねずみ除け)の御札も頒布されていました。

戦国武将が高尾山を保護したとされる書状。

戦国時代に八王子を支配していたのは、小田原北条氏。北条氏は戦勝祈願を薬王院で行っていたことから、高尾山を保護します。
高尾山の樹木伐採を禁じることで、高尾山はその後多くの自然を残すことになります。
「はちはく」では、高尾山では豊かな自然を解説する展示も多数あります。

ムササビの剥製や、近年みられなくなったブッポウソウ(三宝鳥)の展示。

その他、昭和2年に開業した高尾山ケーブルカーの歴史を紹介する展示もあり、このエリアを順に見るだけで、高尾山の歴史を知ることができます。

開業当初のケーブルカーの写真とパンフレット。
壁面には高尾山の変遷(歴史)や高尾山の歩き方を説明するスライドがあります。
薬王院所蔵の巨大な天狗の面も掲げられています。

ここでは紹介しきれませんが、他にもたくさん高尾山関連の展示があり、高尾山好きにはたまらないエリアになっています。

そして、ひととおり高尾山エリアの見学をすると、次は滝山城と八王子城の展示が続きます。
戦国時代末期に北条氏が築城したこれらの城は、高尾山とも密接な関係を持ちます。
特に八王子城は北高尾山稜コースの入口にもなっているので、歴史を知っていると、登山で通るときにより興味深く歩くことができそうです。

立体的な模型で八王子城が解説されています。
八王子城址から出土したベネチア製のレースガラスなど。かなり勢力のある大名であったことがうかがえます。

お城の展示の後は、八王子の街や織物などの展示に移ります。
八王子は江戸時代に甲州街道最大の宿場町であり、養蚕や織物が盛んだったことから「桑都」と呼ばれました(養蚕に欠かせない「桑」が名称の由来)。その当時のことを解説する資料が多く展示されています。

養蚕農家で使われていた道具や蚕などの展示。
織物関連の展示。かつて八王子の駅前には「織物の八王子」という大きなタワーがあるくらいでした。
裏高尾にあった小仏関所の展示も。関所番の川村恵十郎はNHK大河ドラマ「青天を衝け」にも登場してました。

交流ゾーン

日本遺産ストーリーの展示を抜けると、一角に八王子車人形のステージがありました。
八王子車人形は東京都指定無形文化財に指定されており、高尾山のイベントでも多く登場します。
このステージで車人形の体験ができるようなのですが、取材日時点では新型コロナウイルスの影響で休止していました。

八王子車人形のステージ。

車人形のステージ以外にも、機織り体験コーナーや昔の道具の体験コーナーがありますが、こちらも体験はしばらくお休みのようです。

機織り機と昔の道具の体験コーナー。

また「八王子歴史年表」コーナーもあり、縄文時代の土器など数々の歴史資料が展示されています。
日本遺産ストーリーになっている時代以外の八王子の歴史も、ここで知ることができます。

八王子歴史年表。ガラスケースに数々の資料が並ぶ。

順路の一番最後には図書コーナーがあります。
ここでは歴史的な図書を閲覧できたり、いくつかの図書は販売もされています。
高尾山好きにうれしいのは、高尾山の昔の地図が販売されていること。
今回は6種類の絵図が入っている「八王子の絵図2」を購入してみました。
値段も大判の地図が6種類で700円という、公的機関ならではの安さになっています。

閲覧図書コーナー。改めて時間をかけて読みに訪れたいと思いました。
販売されている高尾山の古地図。39.2×54.7cmとかなり大判です。
「八王子の絵図2」は6枚セットで箱に入っています。(両面印刷のものもあり)

以上、「はちはく」の紹介でした。
八王子駅周辺に買い物に行ったときにでもふらっと立ち寄れる場所にありますし、見るのにそんなに時間もかかりませんので、気軽に訪れて欲しい場所です。
高尾山の昔を知ると、今の高尾山をまた違う見方で見れるので面白いですよね。
お子さんから年配の方までオススメですので、ぜひ訪れてみてください。

基本データ

住所 東京都八王子市子安町四丁目7番1号 サザンスカイタワー八王子 3階
TEL 042-622-8939
FAX 042-627-5919
HP https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisetsu/003/hachihaku.html

開館時間 10:00~19:00
休館日 12月29日~1月3日、館内整理日
入館料 無料

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