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高尾山「火渡り祭」。その儀式の流れと会場の様子

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投稿日:2021/3/11

高尾山薬王院では、毎年3月の第二日曜日に「火渡り祭」を行っています。(2024年は3月10日に開催)
これは、高尾山「水の行」「火の行」の2つの荒行のうち「火の行」を一般公開するもので、燃え盛る炎が圧巻の高尾山修験道の一大イベントです。
当日は勇壮な儀式の数々が執り行われますので、会場の様子とあわせて紹介してみたいと思います。

火渡り祭の会場は、普段駐車場としても利用されている高尾山ふもとの薬王院自動車祈祷殿広場
午後1時から始まるということで、取材時は20分ほど前に会場に到着したのですが、すでに広場は人であふれていました。

始まる前の様子。中央に点火されるヒノキの葉が積み上げられている。

儀式終了後に一般の方も火渡りをすることができるのですが、ご利益があるということで人気があり、希望者の待ち行列がかなりの長さになっていました。
(最近では整理券が配布されます。各年の情報は薬王院のInstagramをご覧ください。)

長い列が高台の奥までずっとのびている。(2013年撮影)

13時になると遠くからホラ貝の音が聞こえて、僧侶の方々が入場してきます。
しかし、長い参道を歩いて来るのと、会場に着いても祈祷殿の前で儀式を行ったりするので、実際に目の前に僧侶が登場するのは13時30分頃になります。

梵天札を担いで入場する僧侶たち。

僧侶たちは、梵天札という御札がたくさん刺さった御輿を担いで入場してきます(この御札は儀式終了後、ひとつ500円で買い求めることができます)。

入場後点火するまでに、40分ほど儀式が執り行われます。
魔を追い払う勇壮な儀式が多くなっています。
儀式作法の解説については、薬王院のウェブサイトに解説ページがあるので、そちらも参考にしてみてください。

神斧(しんぷ)。柴燈護摩の檀木である木を切り出す作法。
寶剣(ほうけん)。刀で魔を断ちきる。
寶弓(ほうきゅう)。四方に矢を放ち魔入り込ませない。

儀式は割と長く、大人は興味深く見ていられるのですが、家族連れで来ているところは子供は飽きてしまうようでした。
何か時間を過ごせるものを用意しておくといいかもしれませんね。

さて、2時10分ほどになり、いよいよ点火が行われます。
山積みになったヒノキの葉の両側から、僧侶が長い棒で火を点けていきます。

長い竹の棒を回し点火する。

点火されると、たちまちすごい量の煙が立ち上がります。
会場の風向きによっては煙が流れてきて、服が煙臭くなってしまうことがあります。
煙臭くなって困るような服では行かない方がいいかもしれません。

時間が経つにつれ、煙にかわって火が勢いを増して、巨大な炎となって天高く上がっていきます。

煙の中、僧侶たちが梵天札を担いで回る。
火が回り始めると、勢いよく燃え盛ります。
炎の勢いが最高潮になっていきます。

20分くらいしてひとしきり燃えて火の勢いが弱まってくると、今度は僧侶たちが水をかけたり、かき回したりして、火渡りの道をつくっていきます。
(さすがに火勢を弱めないと火渡りはできません)

だいぶ火の勢いも弱まってきました。

その間、会場の一角では、大釜で沸騰したお湯をかけて身を清める、湯加持(ゆかじ)という儀式が始まります。
上半身裸になった僧侶が、葉のついた木の枝で熱湯を体にかけていきます。
儀式の最初からずっとお湯を沸かしていたので、何に使うのかと思っていたのですが、この儀式のためでした。

湯加持(ゆかじ)。熱湯の水しぶきが舞い上がる。

そしていよいよ火渡りが始まります。火渡りの前に、マイクを通じて佐藤秀仁貫首が火渡りの趣旨をご本尊に読み上げます。

火生三昧表白(かしょうさんまいひょうはく)。火渡りの趣旨を読み上げる。

読み上げが終わると、先頭の僧侶が打ち水をし、勢いよく火を渡り始めました。
火渡りは正式には「火生三昧(かしょうさんまい )」という名称で、火を渡ることにより悪魔、煩悩、怨敵を降伏し安穏解脱を得るという実践修行です。

佐藤秀仁貫首による火渡り(火生三昧)。
貫首に続いて次々と僧侶たちが火渡りを行う。

僧侶の後に一般の参加者も、火の上を渡り始めます。
最初の方に渡っている方たちは、列の長さを考えるとずいぶん早くから来られていたのだと思われます。

僧侶に続いて一般参加者の火渡りが始まる。
会場の出口近くでは、梵天札が1体500円で授与されていました。

以上で、火渡り祭の儀式は終わりになります。

2022年にほぼ全ての儀式を収録した動画をYouTubeにアップしています。
動画でわかりやすいので、ぜひあわせてご覧ください。

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