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高尾ビジターセンター ガイドウォーク

更新日:

投稿日:2013/5/28

皆さん、高尾山頂にある「高尾ビジターセンター」を利用されたことはあるでしょうか?
山頂広場の真ん中あたりにあるこの施設は、登山客に自然との関わりについてなどの情報を提供しています。
館内にはさまざまな展示物があって、高尾山にいる生き物や植物などのことを知ることができます。

実はビジターセンターでは、展示物以外にも「ガイドウォーク」や「スライドショー」などの解説プログラムを毎日に実施しています。
僕も「ガイドウォーク」には一度も参加したことがなかったので、今回(2013/05/21)参加してみることにしました。

ガイドウォークの様子。この日は5号路を散策しました。
ガイドウォークの様子。この日は5号路を散策しました。

「ガイドウォーク」は毎日13時から。(※ハイシーズンなどは実施されない時期もあり)
少し前の時間になると、山頂広場で「ガイドウォーク」受付開始の放送が流れるので、ビジターセンターに行って受付をしましょう(事前予約はできません)。
定員は10名。
日によってはあまりゆっくりしていると、定員になってしまうかも!

さて、時間の13時になると「ガイドウォーク」がスタートします。
所要時間は約50分間。
季節や日によって違いますが、5号路やもみじ台、山頂周辺を散策しながら、解説を聞いてまわります。

案内してくれるのは、インタープリターと呼ばれる解説員の方。
自然に詳しいことはもちろんですが、お話がとても上手で、最初から引き込まれてしまいます。

まずはビジターセンター前からスタート。中央が本日のインタープリター 村上さん。
まずはビジターセンター前からスタート。中央が本日のインタープリター 村上さん。

スタートしてすぐ、ビジターセンターの目の前にある木で、何かの虫が作業をしているとのこと。
参加者の皆さんは目をこらして探してみます。

解説員の方のヒントを聞いて、みなさん一生懸命探します。
解説員の方のヒントを聞いて、みなさん一生懸命探します。

正解は「イタヤハマキチョッキリ」が、ゆりかごを作っていました。
ここの木のはちょっと小さかったのですが、少し離れたところに、大きくぶら下がっているのが見れました。

カエデの木にゆりかごがぶらさがっています。
カエデの木にゆりかごがぶらさがっています。

普段気にもせず通り過ぎている木で、こんな虫の営みがあることに気付かされます。

 
続いては山頂から少し下ったところで、何かの動物が葉っぱを食べた痕を発見しました。
葉っぱは「Vの字」にかじった痕があり、枝は斜めに切られています。
いったい何の動物でしょう・・・。

食べ痕のある葉っぱを手に解説をしてくれます。
食べ痕のある葉っぱを手に解説をしてくれます。

これは高尾山の人気者、ムササビの食痕でした。
山頂近くにもいるんですね〜。

すぐそばの4号路入口の木には3つの穴。
これのうちどれかにムササビが住んでいるとのことです。

この穴のどこかにムササビが!
奥の木に3つの穴があります。この穴のどこかにムササビが!

解説員の村上さんは、通勤途中にムササビがこの穴に出入りしているのを見たとのことです。
さすが毎日山頂まで通勤している、ビジターセンターの人ならではですね。
この穴はキツツキが開けたもの。木とキツツキ、そしてムササビ。その関係性にも注目して欲しいとの解説がありました。

 
ガイドウォークでは、その時期ならでは植物を解説してもらえます。
この日5号路で見られたのは、アワフキムシ。
最初はカエルの卵?と思いましたが、この虫は身を守るために周りに泡をつくるとのことです。

アワフキムシのつくった泡(ボケてしまいました・・・)。
アワフキムシのつくった泡(ボケてしまいました・・・)。

紫の花がうつくしいハンショウヅルなども見られました。

ハンショウヅル
ハンショウヅル

 
そして6号路の入口あたりに着いたところで、「あるドラマ」の話が始まりました。
参加者の皆さんが覗き込んでいるこの石垣、実はある生き物が住んでいた痕があります。

石垣に住んでいた生き物の痕を観察しています。
石垣に住んでいた生き物の痕を観察しています。

実はこの石垣の隙間に、鳥(ヒガラ)の巣の痕がありました。
懐中電灯で隙間を覗くと、奥に白いふかふかの敷物が見えます。

「ドラマ」というのはヒガラと他の生き物との出来事のことでした。
ここの巣ではないのですが、近くの似たような場所に巣があり、そこのヒガラの巣はなんと蛇(アオダイショウ)に襲われてしまいました。
下の写真は、アオダイショウが巣に入っていくところを撮影したものです。

アオダイショウがヒガラの巣を襲っている写真。
アオダイショウがヒガラの巣を襲っている写真。

かわいそうな出来事ですが、アオダイショウも生きていくためには餌をとらなければいけません。
ヒガラは基本的には木の上に巣をつくるようですが、厳しい言い方をすれば、この場所に巣をつくったのはお母さんヒガラの戦略ミス。
森の中では、このような弱肉強食のドラマが日々繰り返されています。

解説員の村上さんは単に花などの名前を教えて歩くだけでなく、生き物や植物が他のものとどう関係しているか、という関係性を繰り返し話されていました。
つながり方を理解することで、もっと自然について知ることができるのかもしれませんね。

 
この日は他にも、もっと素敵な生き物についての解説もあったのですが、場所が特定されるとよくないので、それは秘密です^^;

約50分の散策が終わって、ガイドウォークは終了です。
この日は5号路と稲荷山コースの交点で解散となりました。

50分の散策を終えて、ガイドウォークも終了です。
50分の散策を終えて、ガイドウォークも終了です。

下山するときは、今までとは植物を見る目が変わりました。
登山だとつい山頂や目的地を目指して、着くことばかりを考えてしまいがちですが、せっかく植生の豊かな高尾山にいるのだから、ゆっくり周りの自然に目を向けて歩くことも大切なのだと思いました。

まだ参加したことのない方は、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか?
季節によって内容も変わりますので、リピーターになっても面白いと思います。
おススメですよ!

「ガイドウォーク」についての詳細は、高尾ビジターセンターのHPをご覧ください。
https://www.ces-net.jp/takaovc/

また高尾山マガジンでは、インタープリターの村上友和さんにインタビューした記事があります。
ぜひ合わせてご覧ください!

VOL01 高尾ビジターセンター・村上友和さん

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