八王子城跡と御主殿の滝
高尾山に登ることだけが、高尾山の楽しみ方だろうか・・・、
いや、その周辺の山々から自然に溶け込む高尾山を仰いでみるのもまたいいはずだ!
そのような想いを、確信に変えてくれたのが今回の八王子城跡散策でした。
紅葉も深まった、少し曇りがちのとある平日、我々高尾山マガジン編集委員のメンバー3人でかねてより行ってみたいと思っていた、「八王子城跡」と「御主殿の滝」と呼ばれている場所に足を運びました。
地理的には、高尾登山ケーブルの山頂駅から向かって北に3kmほどの場所が八王子城跡の本丸跡(深沢山山頂)になります。本丸跡から西に進むと北高尾山稜に出ることができますし、また木下沢方面に一旦下り、景信山経由で高尾山に向かうことも可能です。今回は無難に車を利用して八王子霊園方面から入りました。
しかし今回の散策はいつもとは違い、「ある覚悟」をもって挑むことになりました。というのは、目的地の「八王子城跡」・「御主殿の滝」は、日本でも有数の“心霊スポット”だけに、すこしビビりながら向かうハメになったのです!
とは言いつつも現地に到着して見ると、紅葉した山々に取り囲まれた景観にすっかり魅せられ気分が良くなりました。
手始めに八王子城跡の入口にあり、平成24年にオープンしたばかりのガイダンス施設に
寄ってみました。
館内では八王子城に関する歴史案内や資料、ジオラマなどの各種展示物、そして解説映像の上映など、ビジュアル的にも分かりやすい展示となっており、これから向かう八王子城跡への気持ちを一気に高めてもらえます!
一通り展示に満足して、ガイダンス施設を出ました。
イザ標高460m、深沢山山頂に設けられた八王子城本丸跡を目指して出発です!
鳥居をくぐると、そこに我々を待ち受けていたのは、本格的な登山道でした!
「これは完全に登山だ~」と嬉しい悲鳴をあげながら、ズンズン高度を上げていきます。
さすがに難攻不落の城山だけあり、途中急斜面や階段が続きます。
昔の山城の痕跡や、戦の面影を残す「曲輪(くるわ)」などを通り過ぎながら、ただ黙々と樹林帯の中を進み、やっとこさ8合目と書かれた標識を越えて少し歩くと、急に視界が開けてきました。
これはスゴイ!八王子の市街地はもちろん、遠く都心や相模湾の方面まで一望できる絶景スポットです!これで天気が良ければ東京スカイツリーまで望めただろう・・と思いつつ、それでも周辺の展望だけでも十分に大満足!ここまでの疲れを一気に癒してくれました。
7~8分は、ただただ美しい眺望に会話を弾ませながら、時間が過ぎ去っていきました。
そして眺望を後にして、少し歩くと見えてきたのが「八王子神社」です。
牛頭天王(ごずてんのう)と8人の王子(八王子)をまつる信仰をもつ
ここは、まさに「八王子市」の名前の由来にもなっている神社でもあるのです。
その八王子神社から少し南側に歩くと、「松木曲輪」という場所があります。
なんでも戦国時代の豊臣秀吉の北条攻めの際に、北条家臣の中山勘解由家範が前田利家軍
と奮戦した場所らしく、石碑が建てられていました。
そして、この場所にはもう1つのポイントがあります。・・・それはここから高尾山を眺望できることです!ビアマウント会場の手前の尾根から山頂にかけて、若干木々に隠れてしまっているものの間近に高尾山を見ることができます。
たまには、周辺の山から高尾山を望むのも、これまた一興だな~、などと感慨にふけりつつ、しばし時間のたつのも忘れて高尾山に見入ってしまいました。
「松木曲輪」から、本丸跡へはもう目と鼻の先、あと少し登ったところです!
本丸跡は、意外にもこじんまりとしていて展望はなく、石碑と小さなお社が建っているだけの“ちょっとした広場”みたいな場所でしたが、なにはともあれ、目的の1つを達成できバンザイ!といった感じでした!
さあ気持ちを切り替えて本丸を後にした我々は、これまで登ってきた山道を下山し、もう1つの目的地である「御主殿の滝」へと向かいました。登りが急だった分、下りも若干苦労しながら、痙攣しがちな足をだましだまし引きずって下ります(笑)
途中、紅葉に染まった木々の間を通り抜け、曳橋と呼ばれる橋の下を抜けて、たどり着きました。
1590年に豊臣秀吉の北条攻めにより落城した際に、御主殿という場所にいた女性や子供、将兵たちが滝の上で自刃をして、次々と身を投じ、三日三晩川の水が赤く染まった・・・
という言い伝えが残っている滝なのです。ここが心霊スポットと呼ばれている所以なのでしょう。
といいつつも、当初想像していたよりも、滝への道は整備されていて、危なげなく滝にも近づくことができ、結局何の問題も起こらずに滝を見学することができました。その場に長居もせずに、ホ~っと安堵のため息をつきながら、そそくさとその場を立ち去りました(笑)
そしてかつては北条氏の居館があり、現在復元工事が行われている、御主殿の跡を見学して今日の見どころはすべて見て回ることができたわけです。
今回の八王子城跡散策の大きな収穫は、やはり8合目の少し上にある開けた眺望と、「松木曲輪」からみる高尾山の展望に心を打たれましたことでした!
たまには、高尾山周辺の登山もいいものです!
帰りに高尾山マガジン編集委員のメンバーの3人は、八王子ラーメンの美味しいお店に寄って暖かいラーメンを食べてから帰路につくのでした。
八王子ラーメンのレポート記事はこちらをご覧ください!