高尾山で「シモバシラ」の氷の華を観察。冬の始まりに現れる氷の芸術。どこで見れる? 観察の注意点は?
冬の始まり12月〜1月の頃、高尾山では「シモバシラ」という植物にできる氷の華を観察することができます。
地面にできる霜柱とは違い、特定の植物の茎にできる繊細なかたちの氷です。
その神秘的な姿を観察しに、シーズンになると多くの方がカメラを抱えて高尾山を訪れます。
「シモバシラ」の地上部は冬になると枯れてしまいますが、根は元気で、寒くなると根が吸い上げた水を茎から噴き出し、それが冷たい外気に触れることで氷の華ができます。
気温が低くならないとできませんので、観察は朝の時間帯に限られます。取材時は朝7〜9時くらいに観れていますが、もう少し遅い時間でも気温によっては観れることもあるようです。
気温が高いと氷ができなかったり、できても溶けてしまいます。
また、寒すぎても根が水を吸い上げられずに氷の華ができないそうです。
(今までマイナス1〜5℃くらいだと観察できています)
観察時期ですが、何回も氷の華ができていくうちに、茎が弱ってきて徐々にできる氷のサイズが小さくなっていくので、早い時期がオススメかもしれません。
例年12月中旬くらいから、シモバシラの氷の華が観れたという話が聞こえてきます。
代表的な観察ポイントは、高尾山山頂近くの5号路、奥高尾のまき道、ふもとの599MUSEUMになります。
5号路
5号路は高尾山山頂の周りを一周しているループコースです。
シモバシラは1号路と6号路を結ぶ舗装路の脇にあります。
メインの登山道である1号路からすぐのところにありますので、観察しやすい場所と言えるでしょう。
奥高尾のまき道
山の上では5号路のほか、もみじ台〜小仏城山のまき道でシモバシラを観察することができます。
もみじ台北側のまき道
もみじ台に上がる階段を登らず、北側を通るまき道に入ります。
まき道に入ってすぐシモバシラ観察についての注意書きがあり、そこがシモバシラの観察ポイントだということがわかります。
シモバシラはここの斜面で観察することができます。
観察ポイントではシモバシラの観察者向けに、「観察前に知ってほしいこと」という注意書きが掲示されています。
シモバシラの氷の華ができるのは登山道ではない場所。足を踏み入れるとその場所の植生が荒廃し、春になっても植物が出にくくなってしまうなどの被害がでてしまいます。
少し離れたところにあるシモバシラを撮影しようとして、足を踏み入れてしまうケースが多いようです。
必ず登山道外から足を踏み出さないで観察や撮影をしましょう。
この場所以外でも、植生保護のため登山道を外れないようにと、ロープや注意書きが設置されています。
一丁平北側のまき道
取材したときは、もみじ台のまき道ではそんなに氷の華を見つけることはできなかったのですが、一丁平のまき道ではたくさん観ることができました。
TAKAO599MUSEUM
実は山の上に行かなくても、ふもとで確実に観れるスポットがあります。
TAKAO599MUSEUMには敷地内でシモバシラを観察できる場所があり、ここであれば一番手軽に観察することが可能です。
しかもここのシモバシラは山の上で見るものよりサイズが大きく、見応え充分です。
場所は、広場の一番甲州街道寄りになります。案内板が立っているのでわかりやすいと思います。
シモバシラ観察の注意点
奥高尾のまき道の紹介でも注意書きの写真がありましたが、シモバシラ観察のときはくれぐれも登山道の外に足を踏み出さないように注意をしましょう。
人が足を踏み入れると植生が荒廃してしまい、シモバシラだけでなく他の植物にもダメージを与えてしまいます。(地表に見えなくても地面の下に植物が隠れていることがあります)
特に写真撮影をするとき、離れたところにシモバシラがあると、もう少し奥にという気持ちで踏み出してしまう人が多いと聞きます。
毎年シモバシラや植物の観察を多くの人が楽しみにしていますので、「ちょっとだけ」という気持ちを抑えて、ルールを守って観察しましょう。
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シモバシラの氷の花ができる仕組みを、自然ガイドの宮田浩さんに解説してもらったページがあります。
【自然講座】冬の高尾山の風物詩「シモバシラ」。氷の花ができる仕組みを解説
専門的な視点から、氷の花ができる仕組みや条件をわかりやすく解説していただいてますので、ぜひあわせてご覧ください。