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小下沢林道から景信山へ登る「小下沢コース」。沢沿いの緑あふれるルート

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景信山へ登るルートは高尾山から行く他は、裏高尾の「小仏」バス停から「南東尾根コース」で登るのがメジャーなルートですが、小下沢(ごげさわ)林道を経由して行く「小下沢コース」というルートがあります。
最短ルートである「南東尾根コース」より人はグッと減りますが、沢沿いの気持ちのいい道なので、山歩きに慣れた方にはオススメのルートです。

高尾山登山詳細図」によると、このルートの所要時間は登りで約2時間。1時間〜1時間30分で着ける「南東尾根コース」よりは大回りになりますが、たっぷりと沢沿いの自然を楽しめます。

赤い線が今回紹介するルート(出典:地理院地図を加工して作成)

小下沢林道で作業小屋まで(45分)

登山の開始は裏高尾のバス停から。
高尾駅で「小仏」行きのバスに乗り、終点「小仏」のひとつ手前の「大下(おおしも)」バス停で下車します。ここは3月になると「木下沢梅林」の観梅で多くの人が訪れるところですが、梅の季節以外の利用客は少ないです。
(※「こげさわ」には「小下沢」と「木下沢」の2つの表記があります。後述)

「大下」バス停。降りたら少し引き返します

大下で下車したら、来た道を少し引き返し、JR中央本線のトンネルのところにある坂道を登っていきます。
(「大下」ではなく手前の「日影」バス停で降りても、そこまで時間は変わりません)

大下から下ってきたところ。JR中央本線のトンネルの手前を左に入る
この道を登っていきます。木下沢梅林方面への案内板があります
少しすすむと中央自動車道の高架が見えてきます
高架を過ぎると「木下沢梅林」。3月になると紅白の花が華麗に咲きます

木下沢梅林を過ぎると小下沢林道の入口があって、いよいよ山歩きのスタートです。
ただ、林道は一般車は入れませんが車が通れるくらいですから幅も広く、起伏もあまりなくとても歩きやすいです。
ここから40分ほどは、なだらかな林道をのんびり歩いていきます。

小下沢林道の起点。一般車は入れません。奥に見えてる車は保全活動の関係車両
林道はこんな雰囲気です。気持ちのいい道
道の左手には沢があります

しばらく歩いていると、東京都森林事務所による「車両通行止」の規制ロープが張られていました。
実は小下沢林道は2019年の台風で甚大な被害を受け、道が崩落している場所があります。2022年も3月〜8月にかけて大規模な復旧工事が行われ通行止めとなっていました。

歩行者は通ることができますので、先にすすみます。

車両通行止めのロープがあります
真新しいガードレール
かなり長い区間でも新しいガードレールが設置されている

何か所かで真新しいガードレールがあり、復旧工事が行われていたことがわかります。
2021年に通ったときはここまできれいではなく台風による被害で荒れていましたので、2022年に東京都が実施した復旧工事で整備されたのだと思います。

さらにすすむと頑丈なフェンスがあって、車が一切通れないようになっています。

頑丈なフェンス

このフェンスにある注意書きを見ると、ここは林野庁の管理になっています。
面白いことに同じ小下沢林道でもこの手前までは東京都の管理で、ここから先は国有林で林野庁の管理になります。
さらに興味深いのは、東京都の管理下では「こげさわ」は「木下沢」と書き、林野庁の管理化では「小下沢」と書くようです。紛らわしいですが今更統一できないのかもしれませんね。

フェンスの先は道が崩落したままで、車が通れない状態でした。

道がここだけグッと細くなっています
振り返って見たところ。道がえぐられている

よく見ると、以前は車が通れる幅の道があったように見えます。
2019年の台風の際、川の流れで道がえぐられてしまったようです。

ここを過ぎると景信山への分岐点はすぐそこです。

左手に「小下沢国有林」の看板。右手に建物が見えてきます
広場に出ました。道が交差して十字路になっています
先ほど見えた建物は日本山岳会の「高尾の森作業小屋」

広場に出ました。
ここは以前「小下沢キャンプ場」があった跡地。開放的で気持ちのいい場所です。
立派な建物もあり、見てみると日本山岳会の「高尾の森作業小屋」と書かれていました。

広場には十字路があり、小下沢林道を真っ直ぐすすむと関場峠へ、右に折れると北高尾山稜の狐塚峠、そして左に折れると景信山に向かいます。

十字路にある標識
景信山方面はこちらです
奥に橋が見えます
標識に「影信山」と書かれてました。そんな表記の時代もあったのかも?

作業小屋から景信山山頂(1時間20分)

さて、なだらかだった林道を終え、ここから本格的に山登りが始まります。
沢がすぐ横にある道を登っていきます。

橋を渡ります
「熊出没注意!」

このあたりはツキノワグマの目撃情報があります。
人通りも少ないので、熊鈴など用意していった方が安心ですね。

沢沿いの道を登っていきます
きれいな流れですね

この道は「ザリクボ」と呼ばれているようです。(ザリクボは「砂利窪」からきている)
多少荒れている印象はありますが、問題なく歩ける道です。

下の橋から10分ほど登ると、分岐が出てきます。

右への分岐が出てきました
この先、直進は登れないとの注意標識
右にある階段を登っていきます
階段方面には「景信山(大ケヤキ経由)」という表示

この分岐で沢とはお別れで、山の中へと入っていきます。
表示に「大ケヤキ」と書かれていましたが、見どころのある木がいくつかある道になります。

沢を離れてこんな道を歩きます
ブナでしょうか。白い美しい木がありました
これが「大ケヤキ」
大ケヤキは写真だと入りきりませんが、本当に巨大です
またブナと思われる木々が出てきました

このブナと思われる木には、よく見ると落書きのようなものがあります。
見たときは落書きなんかしてけしからん、と思っていたのですが、調べてみると「ナタ目」といってマタギや林業関係の方が目印としてつけることがあるという記述をみて、それかな?とも思いました。

落書き?ナタ目?

しばらく登って標高を上げていくと、道は斜面を横に歩くトラバースになってきます。

斜面を横に歩いていきます

一か所、道幅が狭いうえに根っこが道に出てきていて、足元が危ないところがありました。
ここは滑落の怖れもあるので、気をつけて通りましょう。

危険箇所があるので注意

ここを過ぎると分岐が出てきます。
景信山へは鋭角に折れてすすみます。

分岐が見えてきました
景信山へは鋭角に折れます

ちなみにここを真っ直ぐすすんでしまうと、バリエーションルート(一般ルートではない)になります。(木下沢梅林あたりに降りれる道のようですが、今は中央道の工事現場になっていて通れない可能性あり)

この分岐を過ぎると、このルートもそろそろ終わりになります。
分岐から5分ほどで、小仏バス停からの最短ルート「南東尾根コース」と合流します。

分岐を過ぎてすすみます
南東尾根コースと合流しました。景信山山頂は直進、左に折れると南東尾根コースで小仏バス停へ
合流地点にある標識。今歩いてきた小下沢方面には、クマ注意や復旧工事の案内が掲示されていました
合流地点で振り返ったところ。左が小下沢コース、右が南東尾根コース

ここまでくれば景信山山頂へは、あと10分ほどです。
ここから山頂までの道や、山頂の様子の詳細は、南東尾根コースの解説ページで紹介してますのでご覧ください。

景信山山頂に向かいます
景信山山頂に着きました。山頂には2軒の茶屋があります
景信山の山頂からは高尾山が見下ろせます

いかがだったでしょうか?
少し遠回りですが、沢沿いでたっぷり自然を味わえるルートです。
林道からは人通りも少なくメジャールートほど整備されていないので、少し山歩きに慣れた方向けの道になりますが、少しステップアップした道として、ぜひ試してみてもらいたいルートです。

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