インタビュー

VOL05 八王子消防署浅川出張所 消防活動二輪車(クイックアタッカー)

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24時間365日高尾山を守る赤いバイク、クイックアタッカー

年間約300万人が訪れる高尾山は、都心からも近く、四季折々の自然を満喫できる“観光地”として近年親しまれています。しかし“山”であることを忘れると体調不良や怪我を招き、救助を求める事態にもなります。そのような時、私たちを助けてくれるのが八王子消防署の方々。中でも救助の要請が入ると真っ先に出動するのが、赤いバイクが印象的な消防活動二輪車、通称クイックアタッカーです。今回はクイックアタッカー隊員の方々から日頃の活動やご苦労をお聞きしながら、安全に高尾山を楽しむ心構えをうかがってきました。

インタビュー・テキスト:尾澤 浩一(編集部) 写真:滝 将之(編集部)

東京消防庁 八王子消防署浅川出張所

高尾駅の近くに位置し、管轄する地域の約50%が明治の森高尾国定公園に指定されている山林地域。日々、山の災害防止活動に努めている。所員は所長以下38名(H25/12現在)。クイックアタッカーが配備されている東京消防庁管内10カ所のうち、浅川出張所の出動件数が最多。今回はクイックアタッカーの隊員、阿川 崇・消防士長(写真左)、小林 超・消防副士長(写真右)からお話を伺いました。

年々増え続ける高尾山への出動件数

――高尾山にいるとクイックアタッカーを始め、消防の車が出動しているのを頻繁に目にします。出動の原因で多いものは何でしょうか?

浅川出張所:多いのはやはり体調が悪くなったり、怪我をした方からの救助要請ですね。例えば、転んで頭を打ったとか、手をついて捻挫や、骨を折るなどでしょうか。

――おいくつくらいの方が多いですか?

浅川出張所:やはり怪我は年配の方、65歳以上の方が多いですね。一方、若い人はどちらかというと病気というか急に体調を崩すケースが多いようです。体調が悪いのに無理して登ったり、朝ご飯を食べずに登ってしまい低血糖になって動けなくなってしまう、などですね。

――高尾山はケーブルカーがあったり便利な場所なので、そこまで救助活動が必要なことがあるのかと思ってしまうのですが、どのような場所から救助要請があるのでしょうか?

浅川出張所:1号路から6号路、あと稲荷山コースまで高尾山全体ですね。

――1号路など、歩いてケーブルカーの駅に行けるようなところでも救助要請があったりするのでしょうか?

浅川出張所:ありますね。ふもとから薬王院まで色々なところからあります。街中と同じ感覚で救急車を呼ばれる方もいらっしゃるようです。

クイックアタッカーは2台1組で行動する
クイックアタッカーは2台1組で行動する。1台は救助道具、もう1台は救急道具を装備。

――それは個人からの要請だったりするのでしょうか?

浅川出張所:はい。携帯電話からの119番などです。
要請があると、まず我々クイックアタッカーが出動し、その後、複数の消防車、救急車なども出動します。
よく「何でこんなに沢山の人数で来るのか?」と言われるのですが、やはり普通の救急車は山道に入っていけないので、担架などを運ぶ小さい車が別に出動しなければいけません。また、ご自分で降りてこれればいいのですが、搬送する事を想定しますと、どうしても人員が必要になりますので隊員を運ぶためのポンプ車が出動することになります。

――お聞きしていると、重傷の事故というよりは軽症での気軽な要請が多そうですが・・・。

浅川出張所:7~8割が軽症でしょうか。軽微なものが多いです。

阿川消防士長(左:H16年入庁)と小林消防副士長(右:H20年入庁)
阿川消防士長(左:H16年入庁)と小林消防副士長(右:H20年入庁)

――高尾山は山岳救助と言っても、他の山とは性格が違うようですね。

浅川出張所:極めて稀に、奥高尾の方で滑落などの山岳事故もありますが、ほとんどが軽症の部類です。
傾向としては登山の格好をしている方より、軽装の観光客の方が多いですね。6号路でもトレッキングシューズをはいておらず、スニーカーや時にはハイヒールとか。

――陣馬山あたりも管轄なのでしょうか?

浅川出張所:はい。陣馬にも要請があればここ浅川出張所から出動します。この前はトレラン(トレイルランニング)をしていて転んで動けなくなった人を救助しました。

――四季を通じて人出の多い高尾山ですが、季節によっての傾向などはあるのでしょうか?

浅川出張所:やはり登山者が多いゴールデンウィーク(5月)、シルバーウィーク(9月)、そして紅葉のシーズン(11月)は出動回数も多くなります。
先週(11月下旬)は一日に4回出動した時がありました。
あと、季節に限らず土日の出動は多いです。
(記録簿を確認しながら)今年は今まで(12月現在)で110件と過去最高になります。
あと時間帯で言うと、午前よりも午後の下りでの救助要請が多いです。
ご飯を食べて後は下りるだけという油断からなのか、下山時の怪我や事故が多い気がします。

――一方で、山火事などはどのような状況でしょうか?

浅川出張所:ここ数年は無いですね。自分(阿川さん)は5年前にこちらに来たのですが一回もありません。
やはり救急・救命がメインですね。

2ページ:高尾山における様々な救助活動のケース »

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