VOL05 八王子消防署浅川出張所 消防活動二輪車(クイックアタッカー)
24時間365日高尾山を守る赤いバイク、クイックアタッカー
高尾山における様々な救助活動のケース
――ちなみに前回お約束のあった日は立て続けに出動されていましたが、原因は何だったのでしょうか?
(※このインタビューは2回目で実現。初回はインタビュー開始前に出動になり、日を改めました)
浅川出張所:あの日は、6号路へ2回出動しました。前日が雨で道がぬかるんでいたため、お一人はそれで沢まで落ちてしまい、何とか自分で這い上がってきたところを救助しました。もうお一人は朝ご飯を食べなかったようで、気分が悪くなり動けなくなった人でした。両方とも年配の方でした。
――6号路ですとバイクや車は入れませんよね?
浅川出張所:バイクは琵琶滝までは入れるのですが、そこからは徒歩になります。まずクイックアタッカーの2人が現場へ向かいますが、そのあと本隊の人員が合流します。
全員で連携しながら、担架などを使ってふもとまで搬送します。
――時々、ヘリコプターを見るのですが、ヘリコプターを使用するケースはありますか?
浅川出張所:はい。(記録を確認しながら)今年は今のところ8件ですね。
稲荷山コースや6号路など、車が入っていけないところで、ヘリを利用する場合があります。
通常は担架を4人で持って搬送するのですが、それが1時間や2時間かかってしまうと、症状も悪化してしまいますし、隊員も体力面で厳しいこともあります。
ホバリングしているヘリから吊り上げて機内収容し、ヘリポートのある病院に搬送します。
ヘリの出動には条件があって、木が生い茂っている場所だと使えませんので、ちょっと開けている見通しの良い場所でなければなりません。
なので、そこまで隊員が担架で運ぶかたちになります。
――他に出動されるケースにはどんなものがあるでしょうか?
浅川出張所:あとは道迷いがありますね。
陽が落ちてしまって、通報する方も今自分がどこにいるのか分からなくなる人がいます。
携帯からの連絡なのですが、自分の位置もあいまいにしか分からないので、捜索範囲も広くなります。年齢層は、若いカップルの方や、年配の方でもときどきいらっしゃいますね。
――大変ですね! 一番大変だった時はどれくらいの時間がかかりましたか?
浅川出張所:そうですね・・・、夜中に出動要請が入り、2時半くらいから朝の4時過ぎまで探し回った事がありました。
1号路だったのですが、結局、十一丁目茶屋に駆け込んだところを見つけられました。
1号路も旧道などいくつか道がありますから、ちょっとそれると分からなくなるみたいです。
――夜中2時ですか・・・。24時間気が抜けないですね。
あと、初日の出の時に山頂で低体温症などの急病人が出て大変だと、以前ビジターセンターの方からお聞きしたのですが。
浅川出張所:元旦は急病で搬送されるケースが多いですね。
登り口でみていると、やはり軽装の人も目立ちます。寒くて途中で下りる人もよく見かけますね。
消防はふもとで待機していますが、具合が悪くなって下山してきた人を搬送したりします。
また、冬のこの時期は雪が降らなくても道も凍結しているところがありますので、注意が必要です。
――記憶に残る出動などはありますか?
浅川出張所:(しばらく考えながら)やはり心肺停止などのケースですね。
年配の方のケースでお昼頃でした。持病をお持ちだったのかも知れません。
私たちは救急処置をして、病院に急いで搬送するまでが仕事なので、その後のことは分かりませんが・・・。
あと、夏場のビアマウントの季節は、呑み過ぎで搬送されるケースも少なくありません。ケーブルカーなどで下山していただく時もありますが、要請次第では搬送に行くケースもあります。