うかい鳥山
高尾の奥座敷で味わう本格いろり炭火焼
観光客が多く訪れる高尾山。その最も賑やかな高尾山口のエリアから少し離れた山あいに、まるで日本の原風景のような趣きをもつ老舗店「うかい鳥山」があります。
うかい鳥山は、トランプ大統領が来日時に食事をした「銀座うかい亭」など、国内外に22店舗を構えるうかいグループの創業の店でもあります。
うかい鳥山の創業は1964年。日本が高度経済成長だった時期に、騒がしくなる都心を離れ自然に囲まれ心癒せる場所を作りたいという創業者の想いから、高尾の麓に生まれました。
Contents
高尾山口から15分の別世界
うかい鳥山は、高尾山口駅から甲州街道を大垂水峠方面へ車で15分ほど行った場所にあります。
圏央道の高尾山ICを少し過ぎ、甲州街道から細い道に入って数分走ると、奥深い緑の中に突如タイムスリップしたかのような空間が広がります。
創業時は300坪ほどの敷地でしたが、合掌造りの移築や情緒ある建物の増築、庭園の拡張をすすめ、現在では6,000坪の敷地に大小39棟の建物がある広大な空間になっています。
高尾の自然と見事に調和したその雰囲気は、里山の懐かしさと洗練された和空間が同居した独特な世界を演出しています。
極上の、そして素朴な旨みを味わう「いろり炭火焼」
うかい鳥山を代表する料理は「いろり炭火焼」。
何種類かのコースがありますが、今回は「いろり炭火焼 鶏焼コース」(5,940円)をいただきました。
コースのメニュー詳細は以下になります。
- 長芋素麺/冬瓜そぼろ掛け/隠元 蓮根 胡麻和え/白ずいき
- 炭火焼き(鶏3種)
- 鶏すき鍋
- 麦とろご飯/沢煮わん/香の物
- 水ようかん
※旬・仕入れの状況により献立は変わる場合があります。
炭火焼きの前に、まずは先付けで4品のお料理をいただきます。
どれも洗練されつつも懐かしい味わいでした。
長芋素麺は、長芋が素麺のようにとても細く切られている、うかい鳥山の名物料理です。
4品のお料理を食べ終わった頃、コースのメインである鶏3種が運ばれてきました。
部位は、もも肉、むね肉、手羽中になります。
シンプルな炭火焼きだけに、素材本来の美味しさが味えます。
うかい鳥山では、創業当時に野趣あふれる野鳥料理を提供していたようなのですが、現在は富士山麓の契約農場で丁寧に育てられた鶏を使用しています。
味付けには特製のタレ、塩、レモン、わさび、柚子胡椒の入ったねぎ味噌が用意されていて、様々な味でいただくことができます。
特製のタレは、塩漬けにした胡椒に長ネギと生姜を混ぜたもので、これはとても美味でした。
炭火焼きを堪能し終わると、次には鶏すき鍋の準備が始まります。
鶏すき鍋は鰹出汁ベースで、まず鶏肉とゴボウでいただき、そのあとに野菜をいただくという流れになっています。
肉をいただいた後は、野菜をたっぷり召し上がっていただきたいという心くばりのようです。
旨味が凝縮されていて、この鍋は驚くほど美味しかったです。
鍋を楽しんだ後は、麦とろご飯。
やはり高尾といえばとろろですね。
うかい鳥山の麦とろご飯は創業時からの定番メニューとのこと。
大和芋と鰹出汁を使用しています。
麦とろご飯は、沢煮わんと香の物と一緒にいただきます。
沢煮わんの「沢」は具だくさんの意味。
油揚げ、わらび、水菜が入った椀物です。
麦とろご飯はおかわりが2、3回できるくらいの分量が用意されていました。
そしてコースの締めにはデザートの水ようかん。
ここまでたっぷり2時間ほどかけて、ゆっくり食事を楽しみました。
窓から美しい庭園を眺めながらの味わい深い料理はまさに至福のとき。
接客もとても温かく、格調高い中にもぬくもりを感じることのできる時間でした。
いろり炭火焼のコースは、今回いただいた「鶏焼コース」の他に、「鶏串コース」「牛鶏コース」「牛コース」もあり、鶏以外にうかい特選和牛を楽しむこともできます。
コースによっては、鶏すき鍋が白湯鍋になったり、佐久鯉洗い、または川魚塩焼をいただくこともでき、バリエーション豊かな料理が提供されています。
また、うかい鳥山では団体や混雑時でなければ、主に離れの個室で食事をいただきますが、新型コロナウイルスへの対応が必要なこの時期、個室で他のお客様と距離をとって食事ができるのは大きな利点だと感じました。
いろりがあるため部屋には天井に換気設備があり、換気も心配ありません。
換気のために窓を開ければ美しい庭園を近くに感じることができます。
料理だけではないうかい鳥山の魅力
料理はもちろん素晴らしいのですが、うかい鳥山の魅力はそれだけではありません。
合掌造りの内部を見学できたり、敷地内には山野草園もあります。
料理だけで帰ってしまってはもったいないので、ぜひ散策してみることをおすすめします。
越中五箇山から移築された「前合掌」
入口付近にある大きな合掌造りの建物。
うかい鳥山のシンボルともいえるこの合掌造りは「前合掌」と呼ばれ、創業初期の1968年に越中五箇山(富山県)から移築したものです。
「前合掌」の1Fは食事が可能な広間ですが、2Fと3F(屋根裏)は展示スペースになっていて見学することができます。
合掌造りを移築してからも越中五箇山との交流は続き、その中で収蔵されたものも多いようです。
うかいグループでは、他の店舗でも歴史的な建物を移築することによって、本物が持つ重厚で優雅な物語のある空間を創り出しています。
この合掌造りの移築は、その原点ともいえるものです。
1Fでは合掌造りの移築を解説した映像が流れされていますので、ぜひうかい鳥山の物語を感じてみてはいかがでしょうか?
山野草園
敷地の一番奥には、木道が整備された立派な山野草園があります。
四季折々の花を観察することができ、約150種を超える山野草、水草が植えられています。
特に初春のフクジュソウや春の水芭蕉の群生は素晴らしく、それを目当てに訪れる方もいらっしゃるとのこと。
高尾山で見ることのできる花々も多く観察できます。
また、夏に行われる「ほたる観賞の夕べ」では、この山野草園でほたるが飛び交う姿を観賞できます。
四季ごとの魅力
取材で訪れたのは夏でしたが、季節ごとに姿を変える風景もうかい鳥山の魅力のひとつ。
春の桜、夏のほたる、秋は見事な庭園の紅葉を見に訪れる人で溢れ、冬は雪景色に映える合掌造りの姿があります。
一度だけでなく異なる季節に訪れることで、違ったうかい鳥山の魅力を発見できそうです。
登山帰りに寄れる? 敷居は高くない?
うかい鳥山のことをその存在は知っていても訪れたことがない、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
実は僕もそうだったのですが、高級店で少し敷居が高いのではないかと感じるところがありました。
ただ、実際に訪れてみるとその印象はだいぶ変わりました。
料理に、ゆったりくつろげる空間、敷地内の見どころ。
すべて楽しむと3時間ほど贅沢な時間を過ごすことができます。
一見すると料金も高い印象があるかもしれませんが、得られる満足感を考えると、それ以上の価値があるお店です。
また、格調高いお店なのでドレスコードなど服装を気にする方も多いと思いますが、うかい鳥山の場合は基本的にカジュアルな服装でも大丈夫そうです。
取材した際は夏ということもあり、短パン・Tシャツなど軽装の方も多くいらっしゃいました。
自然の中にあるという場所柄もあり、うかいグループの中ではカジュアルに楽しめるお店のようです。
高尾山の登山帰りに登山服のままで立ち寄ってもよいのか?という疑問もあったのですが、お伺いしたところ、全然問題ないとのことでした。
登山服でのお客様は大勢いらっしゃっているとのこと。
ですので、高尾山の登山帰りにうかい鳥山で料理を楽しむというプランも立てられそうですね。
ただ、登山靴についた汚れは、高尾山口駅にある水道でよく洗っておいた方がいいでしょう。
(うかい鳥山に限らず、どこのお店でもそうですが・・・)
料理はもちろん、それ以外にも数々の魅力のあるお店、うかい鳥山。
高尾山からわずかな時間で、東京都とは思えない空間を味わえますので、未体験の方はぜひ訪れてみることをおすすめします。
基本情報
住所 〒193-0846 東京都八王子市南浅川町3426
電話 042-661-0739
HP https://www.ukai.co.jp/toriyama/
営業時間
[9月末まで]
11:30~19:00 L.O.(曜日関わらず)
[10月以降]
平 日 11:30~19:30 L.O.
土曜日 11:00~19:30 L.O.
日・祝 11:00~19:00 L.O.
※平日のお昼のコースは15:00L.O.
定休日 火曜日(時期によって変動あり)、年末年始
駐車場 約100台収容
送迎バス 高尾山口駅から20分ごとに運行。
メニュー
いろり炭火焼 鶏焼コース ¥5,940
いろり炭火焼 鶏串コース ¥7,150
いろり炭火焼 牛鶏コース ¥9,350
いろり炭火焼 牛コース ¥12,100
お昼のコース(平日限定・十五時まで) ¥5,370
お子様コース ¥2,970